クーラント寿命3倍、大幅なトータルコスト削減に
-アイジーエヴァース株式会社 本社(愛知県刈谷市)-
課題は「腐敗と異臭」。シナジー915で課題の解決だけでなく、クーラントコストの削減と大幅なダウンタイムの低減を実現。
- アイジーエヴァースは高品質な自動車部品の金型を製造している -
アイジーエヴァース株式会社は1960年に設立され、自動車部品の金型製作と試作開発部品の製作を事業の二本柱としている。自動車部品の製造を通じて人々の幸福を創造し、自らも幸福になる幸福連鎖の会社を目指している。
現場を調査
「従来の切削油の異臭には問題意識を持っていた」と吉野氏は言う。2018年10月、JIMTOFを訪問する際、彼は現場のリーダーとサブリーダーを数人連れて行った。ブラザー・スイスルーブ社の展示に目を引かれブースに立ち寄り、技術的な問題を話し合った。
その後、ブラザー・スイスルーブ社の営業担当がアイジーエヴァースを訪問し現場を調査した。現場調査の結果、腐敗、異臭に加え泡の問題もあったため、液の安定性に優れ、消泡性が高いシナジー915を推奨。アイジーエヴァースでは、JIMTOFに同行した若いリーダーをプロジェクトリーダーとして切削油の改善プロジェクトが始動した。そして、まずは本社工場のマシニングセンターと旋盤の各1台ずつでシナジー915をテストすることが決定した。
濃度の重要性
ブラザー・スイスルーブ社はアイジーエヴァースでオペレーター向けの金属加工油セミナーを実施した。セミナーに参加したオペレーターは、それまで切削油の濃度が濃い方が腐らないと思い込んでいたが、濃度が濃ければ良い訳ではないこと、切削油のモニタリング・管理方法、適切な混ぜ方、そして適切な切削油の管理が生産のトータルコスト、切削油のメンテナンス時間の低減に繋がることを教わった。
クーラント寿命3倍、大幅なトータルコスト削減に
以前は長期連休の度に切削油が腐敗し更液していたが、高品質な切削油の使用と適切な管理をすることで、シナジー915のテストを1月に開始して8月の長期連休でも切削油は腐らず更液をする必要はなかった。つまり、年3回程行っていた更液は、年1回に減少できることになる。
新しい切削油の総括の結果、導入コストは割高だけれど長く使えばメリットが出ることが評価され、アイジーエヴァースは本社工場25台のシナジー915への切り替えを決定した。更液回数の減少によるコストメリットだけでなく、従来の切削油と比較すると補充量が少ないこと、そして更液のために機械を停止するダウンタイムをコスト計算すると、本社工場全体で年間約500万円もの削減になる。この実績から、本社工場に加え、精密加工工場でも高速マシニングセンター9台をブラザー・スイスルーブ製品へ切り替えた。こちらの工場では更に年間約200万円のコスト削減になる。
このプロジェクトを振り返って、吉野氏は語る。「若いプロジェクトリーダーがブラザー・スイスルーブ社の営業担当と議論を交わし、信頼関係を築き、正確な判断を行い、会社に利益をもたらしたという意味で、人材育成の点からも素晴らしいプロジェクトでした。今後、高精度微細加工でもブラザー・スイスルーブ社の切削油が当社製品の品質安定に寄与することを期待しています。」
-計34台でシナジー915を使用 -